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2022年03月26日

ひまわり

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ひまわり
I girasoli

1970年イタリア
監督 : ビットリオ・デ・シーカ

ひまわり

ウクライナの情勢を受け、ひまわりがウクライナの国花であることや、この映画がウクライナで撮影されたことから、上映されていました。
私はこれまで何となく敷居が高くて、今回初めて鑑賞しました。
思っていた以上に反戦のメッセージ性が強く、ごく普通の一般の人々の物語でもあったので、強く共感しました。

 あらすじ(ネタバレを含みます) 
(時系列で記載)

第二次大戦中、兵士のアントニオ(マルチェロ・マストロヤンニ)は、アフリカ戦線への出兵を控えた12日間の休暇中に、お針子のジョヴァンナ(ソフィア・ローレン)と結婚します。
休暇が終わる頃、アントニオは出兵を逃れるために精神病院へ入院しようと、二人は街中で刃傷沙汰の喧嘩をします。
一旦は目論見通り精神病院へ収容されますが、結局バレて、懲役の代わりにロシア戦線へ送られます。
アントニオは「毛皮をお土産にする」と言い、列車で出発します。
ロシアは敵兵と極寒との戦いで、とても厳しい行軍でした。
アントニオは命を落としかけ、現地のロシア人女性に助けられます。
一時的に記憶を失ったアントニオはその女性と結婚し、子供をもうけ、記憶が戻ったあともロシアに留まります。
そんなことは知らないジョヴァンナは、消息不明の兵士の問い合わせ窓口へ行き、係の人にヒステリックに詰め寄ります。
戦争が終わり、ジョヴァンナは帰還兵を載せた列車を迎えに行きますが、アントニオは現れません。
そこで同じ部隊だった帰還兵と出会い、アントニオが行軍から脱落したことを知らされ、見捨てたことをなじります。
ジョヴァンナは絶対に生きていると信じ、ロシアへアントニオを探しに行きます。
ようやく手がかりをつかみますが、同時にアントニオの裏切りを知り、絶望します。
一瞬アントニオと再会したけれど逃げるように去り、そのままイタリアへ帰国し、ミラノへ引っ越します。
再会後からジョヴァンナを忘れられなくなったアントニオは、毛皮を買ってイタリアへ行きます。
ミラノまで行き、ジョヴァンナも一度は断りますが結局会うことにします。
アントニオがやり直したいと伝えると、奥から赤ちゃんの泣き声が聞こえ、ジョヴァンナにも男の子がいることが分かります。
名前を聞くと「アントニオ」と。
翌朝、出征のときのように、アントニオがロシアへ行くのを、ジョヴァンナは駅で見送ります。

終わり

 感想 
冒頭で壮大なひまわり畑が映し出されたとき、それぞれのひまわりになんだか表情が感じられて怖いくらいでした。
中盤で「ひまわりの下にも、他の木の下にも、兵士やロシアの農民、戦争の犠牲者が眠っている」というようなセリフが出てきて、そこでひまわりの意味が分かり、ひまわりの数だけ人生があるんだと鳥肌が立ちました。

ジョヴァンナの息子の名前を尋ねるシーンで、「自分の名前か?」「聖アントニオからよ」というやり取りをします。
あまりにもきっぱりとしていて、やっぱりご主人のアントニオからなんだろうと想像しました。
そんな由来の名前なんて誰も幸せになれないのに、それでも。。。と思うと、戦争の不幸がどれだけ大きくて、未来にもつながるんだと、実感しました。


ひまわり ブルーレイ [Blu-ray]
リュドミラ・サヴェリーエワ
角川書店
2013-07-26





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2019年03月03日

パペット大騒査線 追憶の紫影

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 パペット大騒査線 追憶の紫影
The Happytime Murders

2018年アメリカ
監督 : ブライアン・ヘンソン

TheHappytimeMurders

人間とパペットが共存する世界で起きたパペット連続殺人事件を、メリッサ・マッカーシー演じるロス市警の刑事と元相棒のパペット私立探偵が捜査するお話。

本国アメリカでは、セサミストリートの制作会社から訴訟を起こされ (そりゃそうだろうなぁ) 結局その訴えは退けられたとのことで、それも映画宣伝でネタにしたらしい。
そんなエピソードで想像出来る通りの、アグレッシブでお下品な作品でした。
お下品であほっぽいネタが絶え間なく続き、ずっとぐふぐふ笑いっぱなしで楽しかった。
あと結構バイオレンスだった!

私にとってメリッサ・マッカーシーはスーキー!
でもこの作品のメリッサはスーキーとは真逆の、がさつで輩な感じの刑事役で、それがまた魅力的でした

相棒のパペット、フィリップは、生活の荒れが毛玉に出てて、そこが妙にかわいかった。

Rotten TomatoesでのTomatometerは23%と大分低評価のようですが、個人的にはシリーズ希望です!
でも続編があるなら、もう少し控えめだと良いな






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2019年01月27日

バハールの涙

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バハールの涙
Les filles du soleil

2018年フランス・ベルギー・ジョージア・スイス
監督 : エバ・ユッソン

バハールの涙

元奴隷のクルド人女性兵士がISと戦う姿が、戦場ジャーナリストの目線で描かれていました。
想像を絶する世界で、言葉がありません。。。
私の知識が足りず、想像力が不足しているせいもあって、ニュースでこういった悲劇を見聞きするとき、つい組織、エリア単位でとらえてしまいます。
一人ひとりそれぞれの人生があるという当たり前のことを、改めて実感しました。

途中で、戦意を鼓舞する為に、女性部隊のメンバーが大きな声で歌を歌うシーンが出てきます。
ワールド・ウォーZの、大音量でみんなで盛り上がり、その結果ゾンビをおびき寄せてしまったシーンを思い出し、ハラハラしました。

以下ネタバレを含みます

物語はジャーナリスト マチルド (エマニュエル・ベルコマチルド) が女性兵士バハール (ゴルシフテ・ファラハニバハール) 率いる部隊に従軍するところから始まり、マチルドが負傷し部隊を離れるところで終わります。
マチルドはその間ずっと行動をともにし、危険な目にも遭ってきています。
でもマチルドには別に帰れる場所があり、バハールは戦場が日常で、終わりがなく、そこが大きく違っています。
マチルドが部隊を離れ、物語としてはそこで一旦終わりとして描かれることで、その違いが無力感として強烈に感じられ、放心状態のようになってしまいました。

マチルドのセリフで「真実を伝えても、人はクリックすれば忘れてしまう。人は悲劇から目を背けていたい」というものがありました。
自分はまさにその通りのタイプです。
しかも浅はかなので、すぐに「ゼロリセットを。。。」とか「火星へ。。。」とか無駄なことを考えて現実逃避をしてしまいます。

憎しみと復讐の連鎖が消えることを祈るばかりです。

ワールド・ウォーZ Blu-ray
ブラッド・ピット
KADOKAWA / 角川書店
2014-10-24




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